共有物分割請求の解決に向けた流れ
共有不動産について
共有不動産とは、1つの不動産を複数人で共有していることをいい、共有者全員に不動産を利用する権利と管理する義務があります。
共有不動産には、夫婦で購入したマンションや、兄弟姉妹で相続した親の土地や建物、親子で購入した二世帯住宅などがあります。
共有名義の不動産を売却する場合、共有者全員の同意が必要になるなど、問題点が多くあります。
共有者同士でトラブルに発展してしまうこともあるため、共有不動産はなるべく早く共有状態を解消したほうがよいでしょう。
共有物分割請求について
2人以上で不動産を所有している場合、共有者の1人が共有状態の解消を求めることを「共有物分割請求」といいます。
共有物分割請求の権利は、共有者全員が持っていて、いつでも行使できます。
共有物分割請求は法的強制力があるので、共有者の1人から提起された場合には、他の共有者は共有物の解消に向けて対応しなければなりません。
共有物分割請求が想定される主なケースとしては、遺産分割で不動産を複数の相続人で共有していてトラブルになっている場合や、夫婦で購入した共有名義の不動産を、離婚時に共有状態を解消する場合などがあります。
こうしたさまざまな事情により、共有を解消したいとき、共有物分割請求を進めることで共有の解消を行うことができます。
共有物分割請求の解決に向けた流れ
共有状態を解消したい共有者は、共有物分割請求の意思を共有者全員に示し、共有解消に向けた話し合いを進める必要があります。
では、共有物分割請求の流れについて解説します。
共有物分割協議
まずは、共有者全員で話し合いをします。協議は口頭やメールなどでもできます。
解消を提起した共有者は、それぞれの共有者の意見や希望を確認しながら、共有者全員が納得できる解消に向けて協議をまとめていきます。
共有者全員が合意に達した場合のみ、共有物を分割できますが、共有者の利害が対立して、協議が紛糾することも多くあります。
まとまらない場合は、弁護士に依頼して共有物分割請求を進めることも検討しましょう。
共有物分割調停
協議による話し合いで合意できなかった場合は、裁判所に調停を申し立てます。
調停では、調停委員からアドバイスを受けて、不動産の共有状態の解消について合意を目指します。
ただし、調停には強制力がないため、協議で決裂した際は、次に訴訟を起こすこともできます。
調停のメリットとしては、訴訟と比べて非公開で行える、費用が安い、訴訟ではできない柔軟な解決も目指せるということがあります。
協議で完全な合意ができなかったが、大筋の合意が得られている場合などは、調停を行うことをおすすめいたします。
共有物分割訴訟
調停でも不動産の共有状態を解消できない場合は、裁判所に訴訟を提起して解決を図ります。
裁判所から和解をすすめられ、解消方法について和解協議を行います。和解が難しい場合は、裁判所の判決によって、共有不動産について現物分割や代償分割、換価分割のいずれかの方法による分割を決定します。
判決で下された内容は、拒否することはできません。訴訟には、半年から1年近くかかる場合があります。